ちゃげの雑記帳

24歳の医大生が好きなこと、考えたことを発信してます。

医大生が見た外科医の素敵な考え方

f:id:chagex:20190202233239j:plain

 

今回は僕が病院実習を回っていて出会った素晴らしい考え方を紹介したいと思います。僕が患者さんだったらこんなお医者さんにかかりたいって思う内容だったので、ぜひ発信したいと思います。

 

僕がその衝撃を受けたのはある日の病院実習でした。病院実習では色々な診療科を数週間単位でローテーションしながら行うのですが、その時僕は外科で実習を行っていました。

外科といえば、いわゆる手術で病気を治す診療科で、主に薬で治療する内科系の診療科と比べると体育会系な感じがします。僕はそんな雰囲気が好きなんですが、とにかく体力と精神力が試されるなという印象があります。

 

「外科の朝は早い」

どこも大体7:30〜8:00には集合してます。早起きが苦手な僕は毎朝目覚まし時計と格闘しながら必死で起きて行っていました。

そんな朝早くに集合して何をするのかと言われれば、それはもちろん患者さんについてのカンファレンスです。若手の医師がそれぞれの患者さんについてプレゼンテーションを行い、それを経験のある医師が聞いて、全員で治療方針を決める。これはどこの診療科もやっていることですね。

そんなカンファレンスの最中にある難しい症例の患者さんがいました。癌の患者さんでしたが、若手医師が考えた治療方針はその癌を小さい切除範囲で取るというものでした。

本来ならば、もっと大きな切除範囲を確保して取るのですが、患者さんへの負担を考えて小さく切除するという判断を下しました。ただ、切除範囲を小さくしてしまうと癌が再発してしまう可能性も大きくなります。もし再発してしまえば、今回よりももっと悪い状態になってしまいますし、再度手術をしなくてはならなくなってしまいます。患者さん自体もまだ元気に生活していける年齢だったので再発のリスクについても考えなければいけません。

 

この2つの考え方は両方とも間違っていないと思いますし、どちらも100%正解というわけでもありません。

より良い医療を選択をして、患者さんに元気になってもらうことが大切ですから、こうやってどちらの治療方針が良いのか判断に困ることはよくあることだと思います。ましてどちらを選択したとしてもなかなか明確な結果が出るとは言い難いですし、患者さんの捉え方によっても変わるので一概に言えることでもありません。

 

ただそうやって判断に困った時にある経験を積んだ外科の先生が若手医師に向かってこう言いました。

 

「もしこれがお前の親だったらどっちを選ぶんだ?」

 

この言葉を聞いた時に僕は「ビビビビッ!」っと身体に電気が走りました。なんてすごい考え方なんだって思いました。人間だれしも同じ手術を繰り返していると、それぞれの患者さんの人生において手術が一大イベントであるという考えが麻痺してきてしまうものです。

そこでこうやって日々の手術を「自分のことだったらどういう選択を取るだろう。」と毎回疑問を投げかけることは、環境に慣れることなく、麻痺することなく、常に新鮮な気持ちで臨むことができるいい問いかけだと思いました。

 

果たして、医師になってこんな風に自分に問いかけ、初心を忘れずに診療出来ている医師がどれほどいるでしょうか?治療に対してここまで親身になって考えてくれている医師と出会ったことはあるでしょうか?

残念ながらこのカンファレンスは患者さんに知られることはありません。でもきっとこんな風に考えてくれていると知ったら命を預けようと思ってくれる患者さんは多いと思います。

 

さらに、手術室にて若手医師に対して、

 

「僕たちには数ある手術の中の1つだけれども患者さんにとっては一期一会なんだからベストを尽くそうよ。」

 

と言っているのも僕の心にぶっ刺さりました。なんて熱いんだ、松岡修造ぐらい熱いんじゃないか。こんな職場で働きたい、こんな外科医になりたいって心の底から思いました。

1日に何件も手術する中でこんな事を常に考えていることは並大抵な精神力ではありません。でもそれを実行し、若手医師にも共有していくのはまさに理想的な職場環境だなと感じました。集団の中の1人だけで高いモチベーションを保ち続けることはとても難しいですが、そのモチベーションが伝播し高め合う環境がその診療科にはありました。

 僕も将来そんな職場で働きたいなと思いました。もちろん自分がやりたい仕事のできる診療科に進むつもりですが、その1要素として職場環境って大事ですよね。

 

この感動を忘れないうちに残しておこうと思って書いちゃいました。写真みたいに今の気持ちを切り取ってブログに貼り付けておきます。

 

chagex.hatenablog.com

 

以上、僕が衝撃を受けためちゃくちゃかっこいい外科医のお話でした。

最後まで読んでいただきありがとうございました。