医大生が健康診断の数値について解説してみた
皆さん、健康診断の数値の結果ってどうやってみてますか?
大体は横に書いてある基準値を見て、あぁこれが高かった!とかこれが低いから良かったという感じで見ていると思います。
大体の血液検査結果は英語で書かれていたり、省略されていたりで良くわからないですよね。γ-GTが高いと肝臓が悪いとか、コレステロールが高いとか、気になるところだと思います。
なので、今回は臓器別に簡単にグループ分けして、これはこんな状態を反映しているよってことを適当になるべく面白く書いていきます笑
たまには医大生らしい記事を書いてみないとですね!
血液編
まず最初に血液の中の血球について整理していきます。途中で雑学も交えながら書いてみたので軽い気持ちで是非読んでみてください。
WBC
ワールドベースボールクラシック改め、ホワイトブラッドセル、つまり白血球です。感染や炎症で上がってきます。外敵から身体を守る防衛隊って感じですね!こいつらは色々な種類がありますが主なものは好中球と呼ばれます。この好中球は血液中では約半日で寿命を迎えてしまいます。なので骨髄では1日1000億個の好中球が生産されています。人間の身体ってすごい軍事国家ですよね笑
RBC
こちらは赤血球です。肺から酸素を身体中の細胞に運んでいます。これが低いと貧血といわれます。平均寿命は120日と言われています。酸素を全身に運び続けるために核まで失い命をかける、、、「漢」だなぁ。ただ血液中に20兆個もいるんですよね。全身の細胞の1/3位です。血液中にこんなに「漢」がいたら暑苦しくてたまったもんじゃないですね笑
hem
こちらはヘモグロビンです。血液が赤く見えるのはヘモグロビンのおかげです。赤血球に含まれるこいつが酸素と結合しているのです。
だから赤血球が沢山あってもヘモグロビンが低いと貧血となってしまうんですね。
ちなみに、イカやタコの血が青いのはヘモシアニンという銅を媒介にして酸素を運ぶからです。銅が酸化すると青くなるのです。緑青のイメージですかね。
Ht
こちらはヘマトクリットと言います。これは血液にどれだけ赤血球がいるのかを表します。大体男性だと50%弱で女性だと40%ぐらいが平均なので血液中の細胞の約半分くらいは赤血球が占めてるってことですね。
Plt
こちらは血小板です。血管壁が壊れた時に血液が流れ出すのを防ぐ土嚢の役割をします。こいつが少ないと血が止まらなくなってしまいます。
MCV,MCH,MCHC
これらは赤血球に関する値で、貧血があった場合にこれらの値を見ることによってどんな種類の貧血があるのかをある程度絞ることができます。MCVは赤血球1個の大きさ、MCHは赤血球1個に含まれるヘモグロビン量で、MCHCは赤血球1個のヘモグロビン濃度を表しています。
うーむ。なんかだいぶ難しくなってきてしまった。というわけで血液編終わり!
脂質代謝編
お次は皆さん気になる脂質のお話です。中性脂肪とかコレステロールがとか気になりますよね。
TG
こちらはトリアシルグリセライド、またの名を中性脂肪と言います。いわゆるぜい肉って言われるやつですよね。身体で余ったエネルギーを脂肪に変えて蓄えているわけです。食事の影響で上がりやすい検査値の一つなので、基本は12時間絶食で検査します。
もし数値が高かったとしても、その数時間前にご飯を食べていたらあんまり意味無いってことですね。
T-cho
こちらは総コレステロール。コレステロールって聞くとなんか悪いやつってイメージがあるかもしれませんが、大事な存在なんです。ホルモンの材料にもなるし、肝臓でできる胆汁酸の材料にもなります。ただ、多すぎると動脈硬化や脂質異常症の原因となるのです。
ちなみにこの脂質異常症は、成人の5人に1人は罹患しているそうです。やっぱり脂っこいものはやめられないっ!
LDL-chol
悪(の親)玉コレステロールです。こいつは全身にコレステロールを運ぶ役割を担っています。ただこいつの悪いところが、仕事をサボるところです。例えば高齢で動脈硬化があると血管壁が硬くなり隙間ができます。この悪の親玉はその隙間に見えないように入り込み荷物をほっぽり出して仕事をサボるのです。それがどんどん大きくなっていくと血管が詰まってしまうわけです。ホント、悪の親玉だ!
HDL-chol
こちらはいわゆる善玉コレステロールです。血中の余分なコレステロールを回収して肝臓に届ける働き者です。こいつがいればほっぽり出された荷物を回収して帰ってきてくれるわけです。なんてイイやつ!
そしてこのLDL(悪玉)を HDL(善玉)で割った数がLH比というものになります。つまり善玉1つでどれだけの悪玉を担当しているかということです。このLH比が2.5を超えると血栓症のリスクが高くなると考えられています。心臓の血管にできると心筋梗塞という病気も、、、怖いっ!!!
脂質編終わり!コレステロールについてわかりやすく解説できたかなー?
糖代謝編
次は主に糖尿病について重要な数値についてゆるく解説していきます!
Glu,BS
血糖値ですね。ちなみに糖尿病の診断基準は随時血糖126mg/dlですが、これだけでは確定診断にはならないので参考程度という感じでしょうか。次に説明する数値が糖尿病を診断するのに重要になってきます。
ちなみに、糖尿病って血液中にたくさん糖があるのに、最後はどんどん痩せていってしまうんですよね。これは細胞内に糖を取り込むためのインスリンというホルモンが出なくなってしまうために細胞が飢餓状態になってしまうのです。すぐそこにエネルギーがあるのに手が届かないなんて、なんて辛いんでしょう。。。
HbA1c
これはヘモグロビンエーワンシーと読みます。先ほど説明したヘモグロビンにブドウ糖(グルコース)が結合したものです。血糖値はその時の血液中のブドウ糖の量を反映したものですが、HbA1cは赤血球中に存在しているため食事による変化を受けることなく血糖を反映します。赤血球の寿命は120日と言われているので、この間の血糖がどうだったかを知ることができるのです。すごく便利な数値だと思いませんか!
このHbA1cの値が6.5%以上でなおかつ血糖値も基準を満たせば、糖尿病の診断となります。
肝機能編
次は異常値が出やすいであろう肝機能の検査値について解説していきます。お酒や食生活の影響が一番出やすい肝臓のダメージについて見ていきましょう。
ALT
こちらはアラニンアミノトランスフェラーゼの略です(ちなみに正式名称は僕も初めて覚えた)。このASTは肝臓の細胞に多く含まれる酵素です。この値が上がってくるということは肝臓の細胞がダメージを受けているということになります。この値とよく似たASTという値を比べて、肝臓の細胞だけがダメージを受けているのか全身の細胞がダメージを受けているのかを把握することもできます。
アルコールは肝臓で代謝されますから、お酒の飲み過ぎは肝臓にダメージが大きいと言われています。アルコールの代謝については詳しくはこの記事でまとめたので読んでみてください。
AST
こちらはアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼの略です。こちらの酵素は肝臓にも含まれますが、心筋や骨格筋、赤血球にも含まれる酵素です。つまり肝臓以外の細胞にダメージが加わっても上昇してきます。例えば心筋梗塞とか。心臓を栄養する血管が詰まってしまい心筋細胞に酸素が届けられずに細胞が死んでしまいます。すると細胞内の酵素であるASTが壊れた細胞から血中に漏れてくるので値が上昇するのです。
他にもASTとALTを比べることによって色々な病気を鑑別することができます。だから健康診断の表でも隣に書いてあるんですね!
γ-GTP
ガンマーグルタミントランスペプチターゼの略です。もうやたら長いんで僕もよく覚えてないです。こちらも肝細胞に含まれる酵素の一種で解毒メインの酵素です。これも肝臓がダメージを食らうと上がってきますね。書くの何回目って感じですが、お酒とか。肝臓で代謝される薬とか、胆道の閉塞とかでも上がってきます。例えば胆石とかがありますね。
僕も胆嚢に胆石が沢山できてしまって手術して胆嚢を取るという手術を見学したことがあるんですが、その患者さんは特に多かったみたいで胆嚢の中に小さな石が200個くらいありました。さすがの先生もこんな数は初めて見たって仰ってました。でも金色に輝いていて結構きれいですよ胆石って。笑
ALP
こちらもアルカリフォスファターゼという酵素です。もう酵素ばっかり!!こいつは5つの種類があってそれぞれ分布してるエリアが違うんですが、当然肝臓にも生息してます。胆汁から腸管に排泄されるのが普通ですが、ここがふさがると上がってきます。他にも骨とか腎臓とか腸管とか、色々な場所に仲間がいるので、この値が上昇したからといって肝臓が100%悪いというわけではないです。
総ビリルビン
これまた説明が難しいやつが来ましたよ。ビリルビンは血球が壊れたゴミのようなもので肝臓で代謝されて無害なものに変えられ、尿や便から排泄されます。尿が黄色いのも、便が茶色いのもこのビリルビンが姿を変えて含まれているからなんです。
このビリルビンが高いということは、肝臓の機能が落ちているか、血球が多く壊されているのかと考えることができるのです。
ちなみにこのビリルビンが血中に多いと黄疸という症状が出てきます。皮膚が黄色くなってくるのです。その変化が一番わかりやすいと言われているのが眼球結膜、つまり白眼の部分です。お医者さんが目を見るのはこの黄疸とあっかんべーで目の毛細血管を見て貧血がないかを確かめるためなんですね。
アルブミン
これは肝臓で作られるたんぱく質です。血液に含まれるたんぱく質の中で約&0%を占める最大多数派のたんぱく質です。この値が落ちてくると肝臓の機能が弱ってるなと考えられます。このたんぱく質の役割は非常に重要で、浸透圧によって血管内に水分を留めておく役割を担っています。このアルブミンが血液中から減ってしまうと血液中の水分が血管外に逃げてしまいます。塩をかけたらナメクジがしぼんでしまうのと同じ現象ですね。それによってお腹に水が溜まる腹水といった症状が出たりします。肝硬変といった肝臓の機能が著しく落ちている患者さんでも見られます。
やっぱり肝臓は大事な臓器だけあって色々な検査値がありますね。似てるように見えますが1つ1つに大切な役割があるんですね。皆さんも、お酒の飲み過ぎには注意しましょう!!
炎症反応編
最後は炎症についての検査値について書いていきます。これまで説明してきた検査値も炎症によって上がったり下がったりしますが、この検査値は特に炎症を反映するので説明しておきます。
CRP
こちらはC反応性タンパクと言います。炎症が起きると6〜8時間で上昇してきます。感染症でも上がりますが、病院内でよく用いられているのは手術後の患者さんだと思います。手術は程度にもよりますが、かなり侵襲的なものなので必ずCRPが上昇してきます。手術後の経過を見るのに一番わかりやすく共通しているのがCRPです。ただ、当たり前ですがCRPが下がっているからといって必ずしも元気になったというわけではないので、総合的に判断するのが大切ですね。
まとめ
ふぅー。夢中で書いていたら大作になってしまいました。4000字オーバーは初めてです。
他にも沢山の検査値があるんですが、今回は僕が勝手にピックアップして、大事かなと思った検査値だけをゆるく説明してみました。自分で書いていても知識を整理できてよかったです。やっぱりアウトプットすることはとっても大事ですね。
ちなみに、こちらのサイトを参考として使わせていただきました。
健康診断 検査値の見方|説明や基準値 RBCやAST、TGって?|サラダ薬局
基準値とか、今回説明しなかった検査値についても書いてあるので気になった方は見てみてください。
長い記事になりましたが、最後まで読んでいただきありがとうございました。
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