ちゃげの雑記帳

24歳の医大生が好きなこと、考えたことを発信してます。

医学部入試男女差別問題について

今回は医大生の立場から医学部入試の男女差別問題について考えたことを書いていきたいと思います。

男女差別はきっと他の業界でも多少なりともあるものです。男性優位の社会でこれまで歩んできて急に平等にするのは難しいし、時間のかかることだと思います。でも男女差別はもちろん無くしていかなければならない問題ですし、徐々に改善の傾向に向かう動きがあるとは感じています。でも、医学界は特に閉鎖的で男性優位の社会の最たるものであると感じます。だからこうして問題になっていますし、この問題を機に変わっていくと信じています。

 

この記事では受験生や社会から見た男女差別問題医学部に入って感じた男女の働き方の違いを書きたいと思います。もちろんこれは僕の感じたことであってそれは間違ってると感じる方は沢山いるかもしれませんが、一意見として読んでいただけたら幸いです。

 

受験生から見た男女差別

僕自身医学部に入るために1年間浪人をしました。これは完全に自分の実力不足です。浪人するにあたって1人じゃ勉強も厳しいので医学部専門の予備校に通いました。そこには僕と同じように医学部を目指す浪人生たちが沢山いました。そこでは男女問わず友人ができましたし、医学部に関する情報も多く集まってきました。その中には「男子と女子で合格点が違うらしい。」という噂もありました。クラス分けを見てみても、全体では圧倒的に男子が多いのに上のクラスは男女比が同じくらい。女子の方が成績が良い傾向にあるのは一目瞭然です。でも合格するのは男女比で2:1〜3:1ぐらいになってくる。そうなるとやっぱり女子の方が合格するのは難しいという暗黙のルールみたいなものはありました。だからこのニュースが報じられた時にはそこまで驚くことはありませんでした。多分医学部を目指して浪人していた人たちはきっと肌で感じていたと思います。でもそれは大学に合格させてもらう立場の受験生からしたらどうしようもない問題だったわけです。

 

社会から見た男女差別

次にこのニュースを初めて聞いた人たちはどう感じたんだろうと考えてました。医学部は近年では人気がどんどんと上がり、入試の倍率が20倍なんて大学もあるぐらいです。みんな必死に色んなものを犠牲にしながら大学入試に合格するために受験勉強をしているのだと思います。そんな中で裏口入学問題や男女差別問題がニュースになりました。必死に勉強してきた人たちを女性だからといって減点して落とす。本来受かっていたはずなのに数年浪人しているからといって落とす。そんな人たちがいると考えたら憤りを感じるのは当然だと思います。医学界という外からでは分からないブラックボックスのような業界から出てきた男女差別という大きな問題です。これが公正であるべき大学入試で行われているということが大変な問題だろうということです。

ここで一つ裏口入学問題ですが、昔はやっぱりあったみたいです。お金をいくら払うからうちの息子を入れてくれ!みたいな。でも僕が医学部に入りたいって思ってから今までそんな話噂でも聞いたことありません。だから今ではきっとほとんどなかったんだと思います。もちろんあってはならないことですし、これからは絶対にあってはならないことですが。

 

医学部に入って感じた男女の働き方の違い

最後に、僕が実際に医学部に入学して色々な先生達とお話をさせてもらって感じたことを書きたいと思います。

正直、医師は女性の方が向いてる。

いきなりだと思いますが、内科は絶対に女性の方が向いていると思います。これは僕自身が感じたことでもあるのですが、実際に研究でも証明されているのです。

2011年〜2014年の米国で内科疾患で入院となった65歳以上の高齢者150万人を対象に男性医師と女性医師で死亡率と再入院率にどれだけ差があるかを研究した結果、女性医師の方が死亡率、再入院率ともに3~4%も減少したのです。

僕自身も女性医師の方が患者さんもコミュニケーションを取ってくれるように感じます。コミュニケーションをより密に取れるということは心の変化や細かい変化も気がつくということ。こういったものが患者さんの予後に関係してくるのかもしれないと思いました。もちろん、男性医師がそんな能力がないと言っているわけではないです。でもこれは内科に限ったことで、外科では男女差は無いとのことです。

さて、日本ではアメリカと違って進む診療科は自分の意思で決定することができます。そうすると医師の数に偏りが出てくるわけです。女性が進む診療科で多いのは、皮膚科、眼科、小児科、麻酔科などです。これはなぜか、、、

女性には出産も子育てもある!

当たり前ですが問題になるのはこれです。上で挙げた4つの科はどれも緊急性の低い科(小児科は除く)なのです。つまり患者さんが待ってくれるし、短時間で時間を決めて働くことができる、そんな診療科なのです。

子育てしたいなって考える女性医師たちはこうして進む診療科を選ぶのです。そうすると外科や緊急性の高い救急科に医師が少なくなってしまう。そうなると大学は女性医師の数をある程度絞り男性医師を確保しなければと考える。どこで絞るかとなれば入学試験で絞らなくてはいけないな、となるわけです。

だからと言って男女差別を仕方ないといって肯定する気は全くありません。むしろ今回のニュースで目先の問題だけじゃなく、もっと深いところまで男女差別問題の解決のために進んで欲しいと思いました。あくまでこれは僕の考えた道筋であって、他の理由も山ほどあると思います。でも女性医師がもっと活躍していくためには

働きながらも子育てのできる体制、子育てに対する社会の理解

が必要だと考えます。そんな取り組みはもうやってるよと思うかもしれませんが、まだ全然足りません。託児所があれば、育休が取れれば、ではなくもっともっと社会全体で子育てを応援できるような体制になればと思います。そうしないと子供の数だってどんどん減っていってしまいます。今年の出生数は92万人で毎年子供の数は減少しています。このままいけば近い将来、日本は無くなってしまうかもしれません。

 

この男女差別問題をただの差別で終わらせることなく、より女性が働きやすくなる社会の第一歩となればいいなと思います。